「………え…?」
あたしがそんな突如聞こえた声に恐る恐る振り返ると、―――不意にあたしの名前を呼んだらしき人物が、「おー!やっぱり心だー!」なんて言いながらこっちに駆け寄ってきた。
あたしは突然の事でつい戸惑ってしまい、「え、え、」なんて声を出しながらどもってしまう。
「おいおい、久し振りに会ったからって、まさか俺の事、忘れたとか言わねえよな?」
いきなり現れた彼が零したその言葉に、あたしはじっと彼の顔を見つめながら必死に過去の記憶をさかのぼっていると、不意にとある記憶でハッとした。
「え、…もしかして、尚(ナオ)!?」
「そうだよ!久し振り!元気だった?」
「え、な、戻ってきたの!?東京に行ったんじゃ…」
あたしがついビックリしていきなり現れた彼とつい話し込んでしまうと、不意に「――おい」と低い声があたしの耳に入って来た。
あたしはその声にハッとして矢沢君の方へと視線を向けると、矢沢君は如何にも不機嫌そうな顔でこちらをじっと見つめていた。