それからの数十分後、あたしは一つ一つ味わいながら苺パフェとゆずのジェラートを全てペロリとたいらげた。

こんな本格的なデザートを食べたのなんて久し振りだったから今ちょっぴり幸せだな、なんてそんな事を思っていると、不意に目の前の矢沢君から「おい」と声を掛けられた。

「な、何?」

「お前、頬にクリーム付けてる」

「え、嘘!どこ?」

いきなりそう言って来た矢沢君の言葉に、あたしは慌てて右頬をバっと抑えた。

「違う。そっちじゃない」

「……え、」

けれど、不意にそれだけを零した矢沢君は、スッとあたしの左頬に腕を伸ばして来た。