「何だ、ジロジロ見てんじゃねぇぞ」

「えっ、いや、チョコケーキを食べる矢沢君が少し意外で」

「は?俺だってチョコケーキくらい食べる」

「だ、だよね!…失礼しました」

「俺はお前の食欲の方が意外だ」

「なっ、」

そう言って来る矢沢君は「ふっ」と小さな笑みを漏らして、不意にあたしの苺パフェを一口取り上げて来た。

「あっ、それあたしの苺パフェ!」

「別にちょっとくらい良いだろ」

「むっ、でもそれメインの苺…っ」

「ああ。苺が食いたかったんだ」

淡々とそう言って退ける矢沢君は、またちまちまと自分のチョコケーキを食べ始めた。あたしはそんな矢沢君に、不満だとでも言うような顔で眉間にギュッと皺を寄せた。