その後、何故か矢沢君に腕を回されたまま校門前を出て、あたしはどうしようもない空気に身を縮ませた。


「……あのー、矢沢君?」

「何」

「…あの、他の生徒たちが、こっちをじろじろ見てるんですが…」

「ふーん。放っておけ。俺には関係ない」

「なっ、あ、あたしが恥ずかしいよ…!」

「……仕方ない奴だな」

「……え、」


「これだったら、まだマシだろ」

「………っ」

不意にそう言われ、一瞬の隙をついて首から掌へと回された温かな手。あたしはそんな不意打ちな行動に、つい顔をボっと赤く染めてしまった。