矢沢君は「さっさと帰るぞ」とそれだけ吐き捨てると、何故か不意にあたしの肩へグルンと腕を回して来た。
あたしはそんな矢沢君の行動に、ちょっぴり驚いてしまう。

「ちょ、矢沢君っ」

「何だ」

「あの、急にひっつかれると、その…」

「照れてんのか。……多分、俺の方が恥ずいと思うけど」

「はっ!?なら腕離してよ!ここ学校だよ…?」

「ああ、知ってる。ちょっと腕回してみたくなっただけだ」

「は、はい!?何それ…っ」

そう言う矢沢君はプイっとあたしから視線を逸らして、あたしの肩に腕を回したまま歩き始めた。

「……っ」

当のあたしはと言うと、矢沢君の行動がいまいち理解できなくて、ちょっと困っている。