「ふーん。案外奥手なのね、矢沢君って」
「そ、そうなのかな。……男の人と付き合った事ないからよく分からないや…」
「うん。まあ、恋愛未経験の心に最初の相手が矢沢君だと、ちょっと先が見えないかもね」
「え。うーん、そうなのかな」
「ま、分からないけど、これから先何があるか分からないって事よ」
そう言う由希は、やっぱり何処か楽しそうだった。あたしには何が楽しいのかいまいち良く分からなかったけれど。
「まあ、体まで結ばれちゃった時は教えてよー。どんな感じだったか感想聞きたいからー」
「なっ、もう由希…!」
あたしが顔を真っ赤にさせながらそう言うと、由希はあたしの反応を見て「ははは」と笑った。
そんな時。
不意に、―――ガラッと教室の扉が勢いよく開いた。