繋がれた掌から伝わって来る矢沢君の体温に、あたしの体温がゆっくりと上昇する。
久し振りに握った矢沢君の掌は相変わらず温かくて、外は少し寒くなりつつあるというのに、あたしの掌だけはじわりと温かい体温を保ったままだった。
ギュッと握って来る矢沢君の手に、あたしもそっと左手を握り返す。
少し照れてしまったけれど、あたしはこういう行動をあまり取ってくれない矢沢君につい嬉しさが募って、ふわりと小さな笑みが零れた。
「矢沢君」
「何だ」
「……温かいね、凄く」
「……。俺は全然温かくない」
「あ、またそう言う事言う」
あたしがヒョイッと矢沢君の顔を覗いてそう言うと、矢沢君は「うるさい覗くな」と素っ気なくそれだけ返して来て、あたしからフイっと視線を逸らした。
そんな矢沢君に、あたしはまた小さな笑みを零す。