俺は毎朝同じ電車に乗っている。
ラッシュと少しずれているから、満員ではないけど、決して人が少ないわけではない電車。
そこで毎朝あの子を見かける。
俺と反対側のドアの脇にいつも立っている。
席が空いていても、決して座ることはない。
真っ直ぐな黒髪に、大きな瞳。
うるおいのあるピンク色のくちびるに、危うくいけない想像をしてしまいそうになる。
彼女の着ている制服は確か、結構いい女子高のものだと思う。
声も名前も知らない。
でも毎朝、揺れる電車のなか、本を横目に彼女を見る
たまに目が合うのは、俺の気のせいだろうか。