「……すいません。佐野ですけど

声を掛けると慌てたようにナース が取り急ぐ

これが嫌なんだ

僕を見たら父さんの名前が必ず出 る

何処へ行ってもこれだけは付きま とう一生外れない僕の枷(かせ)だ

「すいません今席を外しているよ うで………」

ナースが申し訳なさそうに僕に謝 罪する

謝らなくていい…と言いかけたそ の瞬間だった




「お久しぶりね………君?」




いきなりした懐かしい声に素早く 振り向く





彼女だった