「怜先輩になら懐いてくれるかな?」

「夏目君には、懐いてないの?」

「最近飼ったんですけど全然懐いてくれないんですよ…」


シュン…として落ち込んでいる夏目君は、猫に懐いてもらえてないのが本当にショックみたい。

猫って、結構警戒心が強いからすぐには懐いてくれなかったりするよね。


だから夏目君が悪いとかじゃないから、そんな顔しなくてもいいと思うけど……

夏目君には、いつも笑っていてほしいな。


どうしてそう思うのか分からないけど、とにかく落ち込んだ顔は似合わないよ。


「……行っても、いいよ」

「本当ですか…!?」

「…うん」


行ってもいいよ、って言ったのは、あたしの気まぐれなのかも…。

少しだけ明るくなった夏目君の顔を見ると、ホっとして安心する。


「"じゃあ、約束"」と言って、2回目の指切りを交わした――…。