その場にいるだけで熱い視線が送られるし、一方的に話しかけられるし、ましてや告白まがいの事だって。

それを軽くかわしている夏目君を尊敬すらしてしまう。


「あのさ、もう少し言葉を考えて言ってくれない?」


そうじゃないと、女子の黄色い声がうるさすぎるし、それにあたしの心臓にだって悪すぎる。

1つの言葉に、いちいちドキドキして振り回されてるこっちの身にもなってほしいものだ。


「思った事をそのまま言っちゃ、ダメなんですか……?」

「う……」


瞳をうるうるさせながら見つめてくるその姿は、まさに子犬系男子そのもので。

あたしの意志を弱くさせる技だ。

……それは、自分がそう思ってるだけなのかもしれないけど。


それでも、この瞳には敵わない気がする。


「怜先輩、ダメですか?」

「う………ダメ、じゃない」


あー、ほら言っちゃった。

ここで許してしまうから夏目君がまた調子に乗っちゃうんだよ…!

もっとガツンと言ってやらなきゃ、きっとまた同じ繰り返しだよね。