いつもいつも夏目君のペースに振り回されて、心をかき乱されてるあたし。

こんなのあたしじゃない……


もっと冷静沈着でいて、マイペースだったあたしはどこに行ったのよ!

人がたくさんいる中で、こんなに慌てるなんてあたしらしくないよ。


「怜先輩、顔真っ赤ですよ」

「そ、それは…っ。夏目君が変な事言うからよ」


分かっていて、それを聞くなんて、れっきとした確信犯に違いない。

おまけに笑った顔が、妙に爽やかすぎて、不覚にもドキっとしてしまう。


……本当、あたしペースを乱されすぎ。


夏目君がいると冷静でいられないし、表情なんて簡単に崩されちゃうし。

恐るべし、夏目君だ……


「怜先輩にドキドキさせる為に言ってますからね」

「…っ可愛い顔した悪魔…!」


きっと、そうに違いない。

夏目君は"可愛い顔した悪魔"だ!

ドキドキさせる為に、わざとドキドキするような言葉を言ったりするなんて……


結構Sに近いよね、夏目君て。