美味しそうにクレープを頬張る夏目君は、可愛らしくて、つい見入ってしまう。


「あ……、クリーム付いてる」

「え、どこですか……?」


夏目君の口元にちょこっとだけ付いていたクリームを手で取ってあげた。

そんな急いで食べなくても、クレープはなくならないのにね?


「取れたよ」

「…っありがと、ございます」


見上げてみれば、夏目君の顔は真っ赤になっていて、トマトみたいだ。

外が暑いから?

それとも、別の理由……?


「夏目君、顔赤いよ?」

「き、気のせいです…!」


明らかにおかしい。

少し動揺してるようにも見えるけど…

触れてほしくないみたいだから、あえて深くは突っ込まなかった。


その時、ボソっと夏目君が「今の、やべー…」と言ってる事なんて気づかずに――…