夏目君なら、そういう事はサラっと言ってのけるよ。

慣れてるから言えるんじゃないの…?


「あ、怜先輩っ!」


詩織に相談をしている間に、夏目君はやって来てしまった。

まだ答えを出していないのに……


「怜、行ってあげな?」

「んー……分かった」


夏目君は"お礼"をしたくて誘ってくれてる訳で、それは好意にあたる。

だからそれを、あたしが断ったりしたら、夏目君だって傷つくよね?


それなら、詩織の言う通りに、行ってあげた方がいいのかもしれない。

今回だけは、その好意を受け取ってあげようと思う。


「怜、明日話聞かせてね!」

「うん…?」


意味深な言葉を残して、詩織は鞄を持って教室を出て行った。

クレープが美味しいかどうかについて話を聞かせてって事かな…?