何もない春休みも今日で終わり。
午後の9時に私達幼馴染の三人は忠宏の家に集まり、何時もの様に暇人の会を開いている最中であった。

「なぁ二人とも!明日から俺達も高校生だろ?二人は何の部活に入るか決まったのか?」

何時もの様に爽やかなのか暑苦しいのか分からない調子で、忠宏は私と力人に問い掛けた。

「俺は入る気無いね」

「即答だな力人。しかし折角俺達三人とも同じ高校なんだ。三人仲良く入れる部活を探さないか?なぁ、静良」

「忠宏、私は貴方が入りたがっているテニス部には入らないからな」

私がそう言うと、忠宏の表情が少し暗くなる。
そんな忠宏を見てイラついたのか、力人が少し顔をしかめながら言った。

「あのよ、だいたい何でいきなり一緒の部活何かに入りたがるんだよ?
中学では別々だったんだし、高校でもそれでいいじゃねーか」

「いや、良くは無い!俺は静良と力人と俺の三人で高校での青春を送りたい!」

「でも、私は演劇部に入りたいのだけれど…」

「じゃあ俺も演劇部に入るよ!それでどうかな?」

「…は?本気かよ」

力人が明らかに驚いた表情で忠宏に言うと、忠宏は大きく頷いた。

「けれど忠宏、いいのかそれで。
忠宏って中学でもテニス部で、結構活躍してたし、てっきりプロでも目指しているんじゃないかってくらい練習していたよね?」

私はそう言って、忠宏に真剣な眼差しを送って見せた。
忠宏は少し怯んだ様子で、「うん」と頷くのだった。