今は授業中で、教壇に立つ先生の様子を見ながら、
「あ……はい」
小声で返事をして、後ろを振り向く。
すると、
「浜崎さん、数学のこのページの予習してる?」
ここ、と教科書を見せてくる、後ろの席の彼女、小谷さん。
何時もバッチリメイクをして登校していて、髪の毛もカラーリングしてるし、目立ってるクラスメイト。
「あ……えっと……」
「今日さ、私、当たる日なんだよね。予習してたらノート見せてほしいんだけど~」
「ノート……ですか……?」
「お願ーい~」
両手を合わせてお願いされちゃったけど―…
どうしよう。
正直、小谷さんって怖いっていうか、何て言うか、ニガテなんだよね。
しかも私、数学の予習なんてしてない……