もしかしたら、“これ”に願えば、事を大きくしないで何とかなるんじゃないかって―…
そう思った。
「とりあえず響、お前ここで待ってろ!まだ突っ走んなよ!?車出せるヤツ捕まえて、乗せてってやるから!」
芹沢先輩が携帯を取り出して、この場所から離れる。
「海音、ごめん」
「―…っ」
「直ぐに、戻るから」
そう言うと、月島先輩は芹沢先輩の言葉にお構いなしで、私に背を向けて行ってしまう。
月島先輩、じっとここで待ってなんていられないんだ……
「おい、響っ!」
と小栗先輩が強く引き止めてもダメ。
月島先輩は一歩一歩私と小栗先輩から遠ざかる。