「携帯鳴らしても出ねーから……っ」


こんなに慌てた様子の芹沢先輩を見るのは初めて。何かあったの……?


「どうした……?」


月島先輩も芹沢先輩のそんな珍しい様子に表情が変わる。

さっきまでの幸せな気持ちから、私も一気に不安になる。


「綾が―…」


〝綾”

その名前にまた大きくなる不安。


「綾がどうかしたのか―…?」


芹沢先輩に問う月島先輩の表情はどんどん険しくなる。


「俺が今、遊んでる女が綾と同じ高校なんだけど―…そいつから今連絡があって、西商業の男達に連れて行かれたって……!」


確か、宝条さんもそこの高校―…

あれから私も警戒はしていたけど結局何もなくて、気にし過ぎだったのかな……なんて思ってた。