綾さんの言葉に違う、って思う。

ううん、違うよ。

きっと、月島先輩は綾さんのことを今でも想ってる。

あの日の、綾さんに会った時、月島先輩の様子が何時もと違ってた。

それに、綾さんみたいな素敵な人から、ずっと想い続けてもらってイヤな筈ない。

月島先輩が綾さんと別れたのは、綾さんをキケンな目に合わせることになってしまった責任感からだと思う。


「―…私、響のことを忘れるように頑張ります」


「え……?」


「だって、今はあなたが側にいる。私がこんなこと言うのも、おかしいんですけど―…響のこと宜しくお願いします」


ふわり、綾さんの長くて綺麗な髪が風になびいた。