「私のせい―…私が響のピアノをダメにしてしまったの」


「綾さん……」


「なのに―…なのに響は、あの日、コンクールではなくて宝条君達の所へ言った事を後悔してないって―…私、もう謝っても足りない……」


「だから―…月島先輩と―…」


「ええ。私が側にいると響は辛いんじゃないかって―…あの日以来、前みたいに一緒にはいられなくなって別れたの」


「……」


それが、二人が別れてしまった本当の理由。

やっぱり二人はまだ―…


「響と別れて直ぐに、私は両親の仕事の都合でデンマークへ行くことになったの。でも、先月ね、また両親の仕事がこっちになって日本に戻って来たんだけど―…」


一度、そこで話を止めて、空を見上げる綾さん。


「時の経過が私の気持ちを変えてくれる。そう思っていたのに、向こうにいる間もずっと響のことが忘れられなかった。帰国したら、もっと―…」