後二つあるけれども―…


〝でもね、七つ目の願い事をした時、それまでの願い事はなかったことになるからね”


そんな露天商のおばさんの言葉が浮かぶ。

もし、この力が本物だとすれば、願い事はあと一つしか唱えられない。

七粒とも使ってしまえば、それまでの願いは無かったことに。

という事は―…おばさんの言ったことが事実なら、この小瓶が空になった瞬間、


「月島先輩は―…」


私のことなんて好きじゃなくなってしまうの?

ううん。

きっとそれだけじゃすまない。

私のこと自体を忘れてしまってる。

この場所で出逢った事も、何度も助けてくれたことも、月島先輩の奏でる音楽に私が唄をのせたことも、手を繋いで歩いたことも、甘いキスをしたことも―…

全て。

私のことなんて、きっと全て忘れてしまうよ。