え?

耳を疑ってしまう。


「やっぱり、人魚が唄っているみたいだ」


そう言われて顔を上げると、さっきまでの無表情を崩した、キレイな微笑みが私の瞳に飛び込んで来た。

太陽の光が反射して、波面をキラキラと輝かせる。

その中で、彼の笑顔はとてもキレイで……

見とれずにはいられない。

高二の春。

とてもよく晴れた日。

人気のない静かな海で出会った男性―…

やっぱり思うの。


これは偶然……?

それとも―…


手に持ったガラスの小瓶をぎゅっと握った。