でも、
「アヤ?綾の事、知ってるの?」
芹沢先輩が素早く反応してくる。
名前を出すのは不味かったかな……って今更な後悔があるけど、こうなったらもう素直に聞いてみるべきなのかもしれないって思う。
名前まで出して上手くはぐらかす自信もない。
「実は―…ですね」
と、放課後のファストフード店での事を私は芹沢先輩に話した。
「げっ……宝条なんかに会ったんだ……!?」
芹沢先輩が一番に食いついてきたのは、〝ホウジョウさん”について。
「うわぁ~サイアクだな。響はどうだった?」
「どう―…とは……??」
意味が良く分からなくて首を傾げてしまう私。芹沢先輩はどう説明していいのか「う~ん……」と少し考えて、
「手が出たり―…とか?」
と、神妙な面持ちで言う。