「話ってなに?」


俺の姿に気付いたのか梨華は目線だけこっちに向けて言った。


「…久し振りだな。」

「そぉ?緋呂変わってないね。」


少し笑いながら懐かしむように話す梨華。

たったそれだけのことなのにすごく嬉しかった


「元気か?」

「うんっ!元気だよ」



そんな他愛のない話をしながら今までの溝を埋めるかのように話す。


「で…話って?」

「ん…と。好きなんだ…」


そう言って俺は頭を下げた。


今ならイケる気がした…
そんな淡い期待を持って俺は梨華に伝えた。


「…なんで?…緋呂だけは…緋呂だけは…違うって思ってた…でも…結局はアイツらと一緒なんだね。」


ふと頭を上げると梨華は睨むように俺を見ていた。


まさかこんなことを言われると思ってなかった俺は梨華に何も言えなかった。


「…梨華っ」


やっと出た言葉は静かな廊下に空しく響くだけだった。


どんどん小さくなっていく梨華の背中は…いつもより小さく感じた。