『陽菜…』


俺は心の中でそう呟いた。



俺の目の前には少し息の荒い陽菜の姿。きっと走ってきてくれたんだろう…



「なに?」



本当は嬉しいくせにそれを隠して冷たく言い放つ俺。
俺って案外素直じゃないんだな…



自分の新たな一面を見て、少し驚きながらも陽菜をジッと見つめた。



「緋呂くんのこと…悪く思わないで欲しいの。」


さっきまで嬉しい気持ちでいっぱいだった俺の心は一瞬で真っ黒になった。



なんで…どうして緋呂の名前が一番最初に出てくんだよ。


なんで…俺じゃなくて緋呂の名前なんだよ。



妙な独占欲が俺を支配する。