見てるだけは疲れた。
だからいいよね？
この心、楽にしたい。
─好き─
『先生、山原先生。』
「里中か、どうした？」
勇気だせ、私。
『好き、それだけ伝えたくて…』
ただ走る。目に溜めた涙がこぼれないように。
『ごめんね、先生……』
「里中？」
なんでこいつはいつもこういう時に現れんのよ
『バカにしてるんでしょ』
「なんでするんだよ。」
ゆっくり近づいてくる田中くん。
『近づかない…で』
何故か田中くんの腕の中にいる私。
『離して』
なんて言ったのにこのぬくもりが優しい。
「泣けよ。誰も見てないから。」
『やだ。あんたが見てるもん』
「お前を抱きしめてるから見てねぇよ」
ムカつく。なのに。
ただ私はこいつの腕の中で泣いた。
