「あ、嶋田さん。ちょうどよかった。これ、持ってきてくれる?」

廊下でぼっー、としていると先生に声をかけられた。

『あ、はい』

私達は"恋人"だけど"教師と生徒"。

それは忘れない。

「ありがとう。重かったでしょ」

『私、結構力あるんですよ』

いつも姫依に"すごーい"なんてバカにされているのを思い出した。

「へぇ…」

お互い背を向けて作業していたのに気づくと
先生が後ろに立っている。

『先生?』

何か取りたいものでもあったのかと思って
先生、と呼ぶ。

「ごめん」

その言葉と同時に抱きしめられた。

……ええ!?まって、どういう状況…

それより!!こんなとこ見られたらっ…!

『先生…ダメですよ』

「そうだよね」

やっと離れた先生。

『変な先生…』

「ほんとにどうかしてた…でも、君が悪いんだよ?可愛すぎる君が」

『えー...』

いつもの先生じゃないみたいでドキドキする。

『あ!先生。なんであの子犬、ナツなの?』

ずっと聞きたかったこと。

「ああ。君の名前をつけた。」

『私の名前?』

「その頃から君のこと好きだったから」

いつもは大人な先生。

今は子供な先生。

どっちの先生も好きだよ?

でも…子供っぽい先生は私にしか
見せないでね?