『里中、里中』

呼んでも振り向いてくれない。

なんで。なんで、あいつがいいの。

あいつは里中がどんなに想っても
振り向く相手じゃない。

だったら俺にしなよ。

「なによ」

やっと振り向いた。ただ、それだけで嬉しい。

『帰ろ』

俺の言葉に首を横にふった。

『いいんだ?ばらすよ?俺』

すると顔色が変わった。

「…わかった。でも今日だけだから」

ごめん、脅すようなことして。

でも、それくらい好きなんだ。