「里中」

誰かに呼ばれた。

『えっと…』
呼ばれて振り向いたけど…誰?
そんな私をみて"彼"はため息をついた。

「田中。お前と同じ文化祭実行委員」

『ああ…』
この人が田中くん、か。
確かに…モテそう。でも、私はタイプじゃないな。

「文化祭どうする?」

『んー…そうだねー』

「喫茶店的なのでいっか」
田中くんの提案に私は頷いた。

『じゃあね、田中くん』
私はそう声をかけて帰る。

「里中、さ。…好きな奴いるだろ?」

『…なんでそう思うの?』
焦る気持ちを隠して私はそう聞いた。

「さぁ?なんでだろうな」
何かを知っている、そういう笑い方をして田中くんは帰っていった。

『なんなの……』