不思議そうなクレアの顔。


素直に好きだ、結婚したい女だと伝えたはずなのに、不思議そうな顔をしている年下女に何といえばいいのかゼイルは困った。



「質問を質問で返して申し訳ないが、俺は前から君が好きだし、いっしょに生活したいと言っていたはずなんだが・・・信用してくれないのか?」



「だって、不思議なんですもの。
私はゼイルの前でぜんぜんいいとこなしの女だもの。

この前、パーティーで一緒に歩いてた人みたいにセクシー美女でも、ダンスがうまいわけでもないわ。
ゼイルはもう執事じゃないのに、執事みたいに何でもやってもらわないと、私は生きていけないし・・・。

私そういうのは嫌なの・・・。
年上だから、社会人でキャリアがあって頭がいいんだからできて当たり前っていうのは、腹が立つ要因にはなっても好きになる要因じゃないわ。

なんかみじめになってしまうんだもの。」



「ぷっ! なんとなくわかってきたぞ。
あははははは・・・。この意地っ張りが・・・。」



「えっ、私は素直に言っただけよ。」


「ああ、わかってるって。すごく素直だよ。
素直すぎて、俺にもわからなかった。

くくく、もう、ほんとに困った娘だ。

じゃ、あらためて言いなおすよ。

俺の隣にずっといてくれる女はクレアじゃないとダメだ。
それは、クレアの実力がどんなものであっても関係ないことだ。
なぜなら、俺はクレアの身の回りのことすべてやってあげたい気持ちなんだから。

もちろん学生であろうと、社会人であろうと、関係ない。
クアントの娘のクレアが大好きだから、どうしようもないんだ。」



「ゼイル・・・私は・・・私もゼイルが好き。
ゼイルが好きだから、セイさんに誘われても話を変えようとしたりして受けなかったの。」


「そっか。
セイになっていた俺を許してくれるか?」


「許してあげない・・・って言いたいとこだけど、もともとゼイルが好きだから許してあげる。」


「ありがとな。
じゃ、今日は俺がこれからごちそうから寝るまでつきあってやるからな。」


「えっ・・・寝るまでって・・・そんないらないってば。」


「遠慮するなって、やっとお互い素直な気持ちをぶつけあったんだからさ。
俺はすっごくうれしいんだ。

好きな女から好きだと言われて喜ばない男がいると思うか?」



「あっ・・・うん。」