クレアはダリアムの狙いがわかった気がした。

(好かれてたのはゼイルだけだったんだわ。
私は妹以下の余計な存在だったわけね・・・。)


完全に場の空気が自分には関係ないものになったと思ったクレアは、窓の外のテラスにひとりで出た。


(もうすっかりゼイルも社長の顔ね。
私のお父様の会社はもうないのね。

お父様はこういう集まりはとても苦手だったし、嫌いだったから来たことなかったけど、私には場違いだわ。)


少し休憩して帰ろうとしたときだった。


「きれいな女性がひとりぼっちで、そのまま去ってしまうのはよくないな。」


そういってクレアの手をとる男性がきた。


「あ、あの、私は・・・ダンスなんてしたことがないから逃げてきたんです。」


「曲にあわせてる程度でいいんだよ。こんなのは。さあ、おいで。」


相手が誰かもわからないまま、クレアは3人の男性に引きずられるように部屋へと連れていかれた。


男たちは互いに交代しながら、クレアとダンスをしてはクレアに飲み物をすすめたが、クレアの足が少し痛くなる頃になると、カクテルをクレアに飲ませてクレアはその場で動けなくなってしまった。



どのくらい時間がたったのだろう・・・クレアが目を覚ましてみると、自分の部屋にいた。


「あれ?私は・・・パーティーにいたはずなのに・・・。」


服もいつのまにか夜着になっている。

もしかして夢をみていたのだろうか?


ベッドから降りるとクレアは足をもつらせてしまった。


「きゃあ!!!」


「おっと、どうだいお目覚めは?」


「ゼイル・・・どうして?私、やっぱりパーティーに行ったんだよね。」


「ああ、パーティーで男3人に体を投げ出してたよ。
嫌らしく男どもが、君をながめていた。」


「あ・・・踊った人たちどうしたんだろう?
なんか飲み物に何か入っていたのかも。」


「バカだな、君は!!」


怒っているゼイルにクレアは耳を両手で覆って何があったのか尋ねた。


「私、ゼイルに迷惑かけたのね。ダリアムさんや他のお客様の迷惑になったのね。
ごめんなさい・・・ごめんなさい。」


「違う!バカは俺だ。正直に君に説明しなかったから、もう少しで、クアントに顔向けできないところだった。」


「どういうことなの?」


「ダリアムの作戦だったんだ。自分の娘を俺に押し付けておいて、運がよければ会社ごと買収する気でいた。
だから、邪魔だった君を勘違いして、部下に襲わせるようにしむけたんだ。」


「えっ・・・私は襲われた?」