翌日は学校が休みだったので、やや遅めにクレアの部屋にゼイルは行ってみた。
まずは言ったことを謝罪して・・・・・。

そう思ってドアを開けてみると、部屋はきれいに片付いたまま、机の上には手紙が置いてあった。




私もひとりでがんばってみます。

捜さないでください。

ゼイルがお父様の会社を継いでくださって本当によかったです。

社員も社員の家族も今までと変わりなく生きていけるんだもの。

だけど、私は変わらなきゃいけなかったんです。

家族もいないし、学校に行かせてもらっているんだからもっとしっかりと自分ががんばらないと。

ゼイルに何ひとつ言い返すこともできずに、社長室で伝票整理なんてできません。


怒っていたらごめんなさい。

ちゃんと感謝はしています。

でも、私はゼイルの愛人みたいに過ごすのは嫌なんです。

貧しくても自分の力でやってみたいんです。

できればどこかで会っても知らないふりしてください。

私も知らないふりをします。


私を連れ戻そうとしても無駄です。

私は周りの人からみて劣っているんですよね。

劣っている間は家には帰りません。

しつこく連れ戻す行為をした場合は、遠くの国へと旅立つことにしました。


クレア・ルエ・ロンド





「なんだ、こりゃ?
家出だよな・・・。どこへいったんだ?」


ゼイルはすぐにクレアの居場所を捜し始めた。

しかし、わかったところでどうする・・・?


「家に乗り込んだりしたら、国外へ逃亡されるかもしれない。

くそっ、じゃじゃ馬め。

どうすればいいんだ。そんなに俺のいうことが嫌なのかよ。

劣っているなんて言ってないのに。
どうして、俺はあんなことを言ってしまったんだ!」



そして、ロイのところにもゼイルは連絡をいれておいた。


「ほらみろ!おまえの心ない一言がどんなに彼女の心を傷つけたかわかっているのか?
彼女は彼女なりにいろいろと考えているんだ。

それと・・・たぶんリックの店は手伝うはずだ。
彼女はやめるときは律儀な娘だから、リックにちゃんと話を通してるはずだが、そっちは何もいってない。
だから、リックには彼女のことを僕から頼んでおいた。

いいか、あっちの店にいって問題を起こすなよ!
できればリックの店かうちに来たときに住んでるところとかきけたらいいなとは思ってるから、おまえはヘタに手を出すな。いいな!」


「わかった・・・よ。」