しばらく呼びかけながらクレアの手を握っていたゼイルだったが、やっと手足が温かくなってきたことを確認すると、どっと疲れが出てしまい、ゼイルもそのまま寝てしまった。


朝の陽射しが顔にさして温かく感じた頃、突然のクレアの叫び声でゼイルは目を覚ました。


「おわっ、どうした?」


「ちょ、ちょっと・・・どうして、私・・・裸であなたに抱きしめられてるのよ!

このままじゃ、外にも出れないわ。」



「それはこっちがききたい。こうでもしなければ、君は死んでいた。
いったい冷蔵庫で何があった?」



「あっ・・・私、在庫を確認しているときに、物音がして外から閉められてしまったの。
中のスピーカーで呼びかけても誰も出てくれなくて・・・。

そしたら寒くて・・・。寒くて。うっ・・・」


「誰かはわからないが、君は殺されかけたようだな。
わかった。じゃ、今日からは社長室で働くといい。」



「ちょ、ちょっと待って。
私はアルバイトなのよ。そんな・・・社長室で何をすればいいの?」


「何をって・・・今みたいなことでもいいんだが。
すごく刺激的でかわいい。」



「あ、あの、私・・・私は一線をこえてしまったのですか?」


「ぶっ!!ゴホゴホ・・・。くっ。あはははは。
ほんとにもう、確かに現状からみれば、疑われても仕方がないけれど、俺はそんな節操のない男じゃない。

あくまでも低体温で危なかったから助けるのに肌をつけただけだ。
でも、君がその気なら俺は歓迎するけどね。」



「い、いやぁ。わ、私は自分の部屋にもどりたいわ。
洗って返すからシャツを1枚貸してくれないかしら?」


「お嬢様、私めが服をとってきますからしばらくお待ちくださいませ。」



「えっ!?」


「たまには執事にもどるのもいいだろう?
実際、昨夜は執事の格好をして部屋にいったんだ。
そしたらどこにもいないだろ?」


「それで・・・冷蔵庫に?
ありがとう・・・迷惑ばかりかけてごめんなさい。」


「あれれ・・・今日は妙に素直というか。
大丈夫か?どこか打ったとか?
冷えすぎて記憶を失ったとか?」


「謝ったら変なの?
私だって、命を救ってもらったらお礼をいうくらいはするわよ。」


「そうか・・・そうか。
成長したんだ。

まぁ無事でよかった、それと・・・アルバイトは禁止、もしくはするなら社長室でのみだからな。」


「ええっ!!そんなの。」