そこまで言うと、クレアはすぐに家にもどっていた。

ゼイルに嫌われているのではないとわかっただけでも、少しうれしい気持ちになった。

するとなお一層、会社のことをすべてゼイルに任せっぱなしということにひっかかりを感じる。




「ただいま・・・」


「おかえりなさいませ。」


「おかえりなさいませ、お嬢様。あのお部屋の方に・・・」


「あ、ごめん。明日テストなので部屋にいって勉強しなきゃ。」


「お嬢様ぁ!ちょっと。ふう・・・まあいけばわかるわね。」


クレアが部屋にもどってベッドにふぅ~と倒れこむと後ろで声がした。


「遅かったんだな。ああ~~パンツが丸見えだ。」


「きゃああああああ!!!!な、何よ。どうして私の部屋にいるの?」


「会社のことやお父さんのことを知りたいかなって、早めに帰ってきたらこんなに遅くまで・・・。
何をやってきたんだ?」


「べつにあなたに説明しなきゃいけない理由はないと思うわ。
もう私には家族もいないんだし。」


「使用人はいるだろ。みんな心配すると思わなかったのか?
携帯で電話1本かけるだけの話だろ。」


「そうね、電話はかければよかったわ。
あなたのお店に行ってお兄様とお話してきたわ。」


「兄貴と?そうか。
じゃ、寝るわ、おやすみ。」


「ちょ、ちょっと待ってよ。会社とかお父様のこととかどうなったの?」


「そんな説明は楽しい気分を害してしまうんじゃないのか?」


「どういうこと?
私は、お父様が私には何もいってくれなかったのに、みんなあなたに頼んでいって、お父様が死んでしまうことになったわけすら知らなかったのよ。

ゼイルにいくら電話しても通じないし、困ったあげくにお店にいったのに。」


「俺を捜してたってことか?」


「嘘じゃないわ。携帯を見てみなさいよ!」


「う・・・うん。ちょっと待って。
おわっ!!すまない。
仕事中は携帯には出なかったんだ。

仕事のじゃまだったから、会社に直接電話がない限りでなくて・・・ごめん。」


「いいわよ。忙しかったんでしょ。
お兄様に言われたわ、忙しいから待ってやってくれって。」


「そっか。すまなかった・・・何もわからない分、心配だったよな。」


「お父さんは君に心配かけたくないのと、涙顔を見たくなかっただけなんだ。
だから許してやってあげてくれ。

それで、仕事のことだけど、お父さんは食品を冷蔵でいろんなところに卸してしたんだけどね、はっきりいって最近は事業は思わしくなくて、会計士だった俺にどうしたらいいか相談していたんだ。
それで、新しいスイーツの販売に注目して女性にうけるスイーツが手軽に扱える方法をさがしたら、そろそろやっといい感じになってきてさ。」


「私も手伝えることないの?」