狼狽えるばかりでまこちゃんに伝えることもできず、私はひとり化学室へ向かった。













化学室を見渡しても、吉良くんの姿はなくて私はほっと息を吐いた。

だって、なにを話していいのかよくわからないし……


吉良くんは私のことを知っていたみたいだけど、私は何も知らない。


名前ひとつにしたって、自分で聞くことすらできないんだから。


ほんとに、どうして私なんか好きだって言ってくれて優しくしてくれるんだろう。



不思議でならない。

私に取り柄なんて、あるのかな。