振り向くと、私がさっきまでいた場所に地図がコロコロと転がっていて。


「ふ、ふぅ……間一髪でしたね……はっ!さ、三枝さん怪我はないですか!?」

穂積くんの声が遠くに聞こえる。

もし、今彼が腕を引いてくれなかったら……
あの重たい地図が当たっていたらと思うと、今になって身体が震え出した。


「は、はい……」

返事をして顔をあげると、とても近くに穂積くんの顔があって。

じわじわと顔が熱くなるのと同時に、腰に回された手が気になる。


気を紛らすように、穂積くんの眼鏡をじっと見る。
すごい大きな眼鏡だなあ……