家に着いて買ってきた化粧落としでメイクを落とし、スエットを借りてお風呂場で着替える。ベットは1つしかなくて布団がなかったから一緒に入る。

あたしはここで初めて少しの恐怖に怯える。こーちゃんに手を握られた。
こーちゃんが初めてあたしに触れてきたのだった。だけど鳥肌は立たない。ただ願ったことはこれ以上あたしに近づかないで。触らないでって願うだけだった。

こんな状況で思い出すのはいつも優しいだたつき君の顔や言葉ばかり。

「あや?なんかあったら俺にいつでもゆうてこいよ。どこにおっても助けにいったるからな。」
「俺勉強はできやんけど、喧嘩やったら負ける気せーへんからな!」

たつき君。今すぐ助けに来てほしい。
俺の女に手ぇ出すな!って
ねぇ。今あたしの隣にはたつき君以外の男がいるんだよ?その男に手握られてるの。今夜は朝まで一緒なんだよ?何が起こるかわかんないじゃん。
お前何やってんねん!って怒りに来てよ

そんな願いは叶うはずもなかった。