「…か。彩花。そろそろ起きたら?」
「あと5分だけ…」
「もう、そういって15分も経ってるじゃないの。いい加減起きなさい。」
「今何時…?」
「7:30だけど?」
「え…?えええ?!?!
お母さんなんでもっと早く言ってくれないの!!!!」
「さっきからずっと言ってましたよ〜。」

「遅刻したらお母さんのせいだからね!」

朝の始まりは大体いつもこう。
お母さんは優しい起こし方しかしてくれず、私はそれに怒っている。
まあ自分が起きないのがいけないんだけど…。

私は高校2年生の七瀬 彩花。
もう高校生活を1年以上してるのにも関わらず、週に3回は必ず寝坊する。

私の通う高校は、西南高校と言う
極一般的な高校で、強いて言うなら
行事に対しての熱が半端じゃないこと。
西南高校は、私の地域の最寄駅から3つ離れた所にある。
9:00までに校舎内に入らなければ
遅刻扱いされる。
そして家から最寄駅までは徒歩15分。
最寄駅から西南高校のある高校まで大体40分電車に揺られる。
つまり学校に行くまでに1時間は
掛かるということ。
現在7:30。8:00には家を出る必要がある。
ああ、これは完全に遅刻だ。
最悪駅まで、猛ダッシュ。

スカートを3回折り、靴下は短め。
いつものポニーテールをして
今日は下地を塗って、アイラインだけ引いてメイク完了。
身支度を15分で完了させて、
朝ごはんはスープのみ。

そして家を出たのは8:05。
これでもか、というくらいの
全速力で駅まで走った。
いつも乗る時間の電車には間に合わなかったけど、次の電車に乗れば間に合いそうなので、一安心。
「まじでよかった…。」