あたしは部活で青春を謳歌する暇があったら、バイトでお金を稼ぎたいのよ!

万年帰宅部を貫き通すつもりだったのに……。

ガックリと肩を落とすあたしを見て、すでに茶道部に入っている舞花はケラケラと笑う。



「そんなに落ち込むことないじゃん。縁はスポーツ万能なんだから、どこにでも入れるだろうし」

「そういう問題じゃないんだって……」

「あ、そうだ。テニス部にすれば!?」



テニス部という単語にピクリと反応したあたしの腕を引っ張り、舞花は窓際に走り寄る。

そして窓の外を覗かされると、遠くに見えるテニスコートには、新学期早々朝練をしている男子が。


ぅわ……あの美男子は樋田(ヒダ)先輩!!

こんな遠目からでもあたしにはわかる。サラサラの黒髪と額の汗が朝日に輝いて、ものすごくステキ!

あの汗を拭う姿とか、爽やかかつセクシーでたまんない!



「はぁ、いつ見てもカッコいい……」

「縁も入部すれば、あのテニスの王子様と毎日一緒にいられるんだよ?」



窓枠に肘を付いてうっとりするあたしに、舞花が耳元で囁き誘惑してくる。

そ、それはたしかに魅力的……だけど。