たわいない春休み中の話をしながら、あたし達は一階から二階へと移った教室へ向かう。

この学校はクラス替えがないから、三年間同じ仲間と過ごすことになる。

幸いあたし達のクラスは問題児がいるわけでも、イジメがあるわけでもなく、まあまあ仲良くやっているから不満はない。

久しぶりに顔を合わせる友達と挨拶を交わしながら、廊下に備え付けられたロッカーに荷物を入れていると。



「ねぇ、縁は何の部活に入るの?」



ダイヤル式の鍵を掛けながら、舞花がそんなことを言い出した。



「なに突然。部活なんて入んないよ、バイトあるし」

「あれっ、休み前の先生の話聞いてなかった?」

「へ?」

「今年度から部活動は全員参加することになったんだよ」

「……はぁぁ!?」



あたしの声が、眩しい朝の廊下に響き渡る。

だって、そんな話してた!?

全員参加ってなにそれ! “生徒の自主性を尊重する”とかいう方針はどうなった!?



「もしかしたら、縁がバイトでホームルームすっぽかして帰っちゃった時に言ってたのかもね。全員参加なんてことになったのも、そういう人が多いせいじゃないかなぁ」

「マジ……?」