「そんなことは置いておいて、最近この辺りもヤバいよなぁ……」
 
「……?」
 
「知らないのか!?ほら、最近ニュースでも話題になってるあの事件!!」
 
「……あぁ、事件てあれの事か……確か、商店街のはずれにある古びたスーパーの近くで誰かが何かに襲われたっていう……そういや、そんなこと母さんが言ってたような気がするな」
 
「そう、ソレだよ!!ニュースの話だと、襲われた人は体中爪でひっかかれた跡が残っていたらしいぜ?うぅ……想像しただけでも恐ろしい……」
 
亮はだんだん声のトーンが低くなっていった。が、雄也は眠気が吹っ飛んで行くのを感じた。
 
「確かに怖いけど……でもさ、なんかこういうのって逆に探ってみたくない?事件があった場所も近い訳だしさ」 
 
「えぇ!?とんでもない!!俺は断固拒否だね!!」
 
首を横に振って自分が反対していることを亮は雄也にアピールした。
 
「そんな必死に嫌がるなよ。半分冗談だったんだし……いや、待てよ……」
 
そしてしばしの沈黙。
 
「俺1人で行ってみるよ。」
 
「お、おい!お前、本気か!?やめとけって!!死んでも知らないぜ!?」 
 
「大丈夫だって。ちょっとだけ見てくるだけだよ」
 
その後、亮は雄也を必死に引き止めようとしたが、勿論ダメだった。雄也の決意は堅かった、なんて戯れ言どころではない。ただ単に雄也が頑固なだけだった。放課後、雄也は事件のあった古びたスーパーへ赴くことになった。