狭間の世界
 
そこは人間の住む世界よりも、遥かに色鮮やかで美しい場所。色彩の大樹という木がこの世界には存在し、またその木には”色の雫”という、この世界のエネルギーの源になるものがあった。色はこの世界の住人の生命源でもあるのだ。
異端点はこのぐらいだろう。その他は何ら変わりない、人間の世界と同じように大地で作物を作り、店で商売を営み、娯楽で疲れを癒す。そんな生活を住人は送り、そして仲良く過ごしていた。
 
 
しかし、そんな平和な日々を送っていた狭間の世界を急変させるような出来事が突如として起こった。
 
 
狭間の世界の住人の1人、エンオー。彼が色彩の大樹から”色の雫”を奪ったのだ。
表向きには善人のように振る舞っていた。だが、裏の顔はいつか”色の雫”を奪って、自分だけの物にしようと企んでいたのだった。
 
 
”色の雫”を奪ったエンオーは、やがて《色獣》というモンスターを”色の雫”の力で生み出し、それらに自分の城を、否、狭間の世界を征服せんとす拠点を築かせた。今でもエンオーはその拠点に居座っている。
 
 
色を失った狭間の世界。勿論、活気はない、ただそこにあるだけの存在。そんな色を失った人たちが増え続けていた。
既に狭間の世界はモノクロの世界と化していたのだった。