次の日。
律が登校すると下駄箱のところで偶然にも、柚姫を見掛けた。
柚姫も気付いたようで、律に口パクで「おはようございます」と伝えてきた。
そんな柚姫の姿に、律は思わずニヤリと笑っていた。
その様子を見逃さなかったのが、いつの間にか隣にいた隼大と一緒に登校したあかねだった。
「あっ、律が笑ってる」
「本当だわ。一体何処に笑う要素があったのかしら?」
「………」
「黙りかよ!」
律は隼大とあかねに問い詰められたが、何も答えなかった。
どうやら2人には柚姫のことが見えていなかったようだ。
律は2人にバレないように、ホッと息を吐いた。
すると、目線の隅に、柚姫が女の子の集団に連れて行かれるところが目に入ってきたのだ。