「いやぁ~、雨宮さん。今日は本当にありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそありがとうございました」
「また機会がありましたら、ぜひ律くんの点てるお茶を飲みたいですな」
「そんな風に言っていただけて光栄です。機会がありましたら、ぜひその時に…」
「楽しみにしているよ」
「はい」
「律先輩…。今日はありがとうございました。また明日、学校で」
「あぁ…。ただ、学校でしかも人が大勢いる時には、知らない振りをしろよ?」
「えっ?」
律が言っていることの意味がわからず、柚姫は首を傾けていた。
「俺の取り巻き達に絡まれても嫌だろう?…それに、もうあんなことを経験するのは懲り懲りだ」
「よくわかりませんが、誰もいなければ話し掛けても良いですか?」
「あ、あぁ…」
「わかりました」
律の言葉に柚姫は嬉しそうだった。
それから律は、宗助と一緒に車へ乗り込み、一ノ瀬家を後にした。