「それで、そんなに急いでどうしたんだよ」

「はい…」

「…何これ?」








柚姫に手渡されたラッピング袋を見た律は、眉間に皺を寄せた。









「律先輩に貸して頂いたハンカチです。洗濯して返そうと準備をしていたのに、すっかり忘れてました」

「…何だ。ハンカチか。てっきり、お菓子か何かかと思ってビックリした」

「あっ…ハンカチと一緒にお菓子を入れてしまったんですが……律先輩、甘いのお嫌いですか?」

「いや、大丈夫だ。悪かったな。こういう贈り物…特に手作りの食べ物には昔から嫌な思い出しかなかったから、ちょっと抵抗があったんだが……ってそんな顔するな」

「すみません…私、知らなくて勝手なことを…」

「気にするな。お前は知らなくて当たり前だろ?」








そう言うと律は立ち上がり、柚姫の頭を撫でた。
予想外のことに、柚姫は驚いて目を見開いていた。