すると、柚姫が何かを思い出したかのように、声を上げた。
「どうした?」
「律先輩、ちょっと待っててもらえますか?」
「…あぁ、良いけど…」
「直ぐに戻ってきますから!」
そう言うと、柚姫は走って何処かへと行ってしまった。
律は近くにあったベンチに腰掛け、柚姫が戻ってくるのを待った。
時間にして5分も掛かっていなかっただろう。
柚姫は言葉の通り、直ぐに戻ってきた。
「ハァ…ハァ…お待たせしました…」
「クスッ…そんなに急がなくても良かったのに。ほら、着物が着崩れてるぞ?」
「あっ…本当だ…」
柚姫は律に指摘され、慌てて着物を直した。