「あ、ありがとうございます」
「別に…。あっ…」
「どうかしましたか?」
「あんた…膝擦りむいてる」
「本当だ…。気付きませんでした」
「ほら…」
そう言うと、律は女の子にハンカチを差し出した。
「ありがとうございます」
するとチャイムが鳴り響き、女の子は不思議そうな顔をしていた。
「あれ?さっきチャイム鳴った気がしたのに…」
「あぁ、あれ?あれは俺が鳴らした偽物のチャイム。今、鳴ったのが本物」
「偽物?」
「あぁ…」
そう言うと、律は携帯を見せた。
そして、女の子に先程鳴らしたチャイムの音を聞かせたのだった。