「非公式で構わないんです。是非、律くんの点てるお茶を、うちの娘に飲ませてやりたいんですが…。娘も、茶道に対する思いに変化が出てくると思うんです」
「…律、どうする?返事はお前が決めなさい」
「俺は構わないです」
「ありがとう、律くん。日にちは調整して改めてこちらからご連絡致します」
「はい」
そう言うと、一ノ瀬は雨宮家を後にした。
「律、良かったのか?相手は一ノ瀬さんのお嬢さんだぞ?お前、女の子が…」
「あぁ、大丈夫。俺は雨宮流を継ぐんだ。それに、あぁいう付き合いも必要だって教えてくれたのは家元、貴方ですよ」
律はそう言うと、母家に向かって歩いて行った。
そんな律の後ろ姿を微笑ましく見ていた。