律が悩んでいる間にも、ドアがノックされ、奏大達が入ってきた。
久しぶりに会う奏大は、昔と何も変わっていなかった。
律が何気無く見ていると、奏大と目が合った。
目が合うと、奏大は誰にも気づかれないように、律に向かって頷いた。








「それじゃぁ、まずは自己紹介だな。西條コーポレーション会長の西條大樹と妻の瑞穂だ。それから…」

「自分の事は自分で言う。西條奏大、25才。仕事は西條コーポレーションの副社長だ」

「あれ?創くんが秘書をしてるのって…」

「そう、コイツの秘書。…奏大、雨宮流家元の雨宮宗助。それから、華道家の雨宮千裕。あと、弟で次期家元の律と、妹の花菜。それから、俺の婚約者のあかねだ」

「は、初めまして。雨宮花菜です」

「あぁ…」

「相変わらず、喜怒哀楽の感情表現が分かりにくい子ねぇ~。そんなんじゃ、花菜さんに嫌われちゃうわよ?」

「……」

「もう、奏大ったら仕方ないわね…。ごめんなさいね、花菜さん。奏大にも兄弟がいるんだけど、今日は急だったから都合がつかなくて…。おいおい、奏大にでも紹介してもらってね」

「は、はい…」