ホテルへ着くと、花菜は緊張しているようで、泣いており、あかねに慰められていた。
するとドアが開き、誰かが入ってきた。
「なんだ、兄貴かよ」
「あぁ?悪かったな、俺で」
「創、相手の方は?」
「なんだ、親父とお袋まで来たのか」
「そりゃぁ、花菜の一大事ですもの」
「一人娘の相手がどんな奴かこの目で確かめておかないとな」
「あれ?パパとママは相手が誰か知らないの?」
「創からは職場の人としか何も聞かされてないから、知らないのよ。ごめんなさいね」
「アイツなら、下で会長と奥様を待ってるから、もう少ししたら来るんじゃないか?」
「そうなの?楽しみだわ」
花菜の緊張をよそに、母は今か今かと心を踊らせていた。
そして、意外にも律も緊張していたのであった。
実は、律も奏大に会うのは久しぶりで、花菜が記憶を無くして以来になる。
あれ以来、奏大は律の前にも現れなくなったのだ。
久しぶりに会う奏大に、どういう反応をして良いのかわからなかった。